那覇・辻村のふたつのビンシー ~ 小さな冒険のはじまり <辻のことを真剣に調査しようと思いはじめたきっかけ>

ぐすーよー、ちゅううがなびら(みなさま、こんにちは)☆ (^-^)/
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那覇から七海(ななみ)こと「ねこ」こと、店主・ミカ(安積美加・ASAKA MIKA)です。

いよいよ来週に迫りました辻旧廿日正月神事。
今年は新暦のひな祭りにあたります。

昨日(2021年2月24日)は14時からムラヤーに集まって、神事の準備を行いました。
<辻旧廿日正月神事の準備>
・今後の予定について
・神事に必要な道具やウサギムン(お供え物)の確認
・神事の役割分担の確認
・お料理の確認
・御拝セットの準備
・拝所の確認

いつもは集合時間より早く行って、神事でまわる各拝所にご挨拶しているのですが、昨日は初めて15分ほど遅刻。
シージャ方ばかりのなか、一番下っ端のねこが遅刻してしまい恥ずかしかったー。(>_<)

辻御嶽の樹木が剪定中でした。
個人的には以前の樹々が鬱蒼とした雰囲気の方が好きだったのですが、
害虫や落ち葉、不法投棄(!)など、かなり残念な事象があるようで、致し方ないみたいです。
(信じられないことですが、御嶽に不法投棄やチリを捨てるなど、考えられないことをやってのける方たちがいるのです。本当に残念です。)

御嶽の変わり果てた風景を目の当たりにして、胸が痛かったのですが、
「良い風に考えましょう!」
とIさんが明るく言ってくださったので、少し救われました。
ほんと、ものは考えようですよね。(Iさん、ありがとうございます。)

辻村に伝わるふたつのビンシーが、辻のことを本気で調べようと思いはじめるきっかけに

ビンシーは、神事の際に用いる携帯用の御拝道具です。

辻には「上村渠(ウィンダカリ)」と「前村渠(メーンダカリ)」、ふたつの集落のビンシーが継承されています。

しかし、どちらのビンシーがどちらの集落のものか、判別がつかない状況だと聞いていました。
神事ではふたつのビンシーを並べて同時に御拝を行うのでわからなくても何とかなる、ということもあったでしょうし、
なにより、
戦争で多くの方が犠牲になり、何もかもがめちゃくちゃになってしまっていたので、うまく継承されなかったのかもしれません。

とてもよく研究された浅香怜子さんの『じゅり馬と辻村女の里(チージ)の研究』にもそのことが記されていました。
以下、浅香怜子さんの『じゅり馬と辻村女の里(チージ)の研究 第一集』(31頁)より抜粋させて頂きます。
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ビンシー(携帯式御願道具) 辻廿日正月祭り
大と小、二つの「ビンシー」が一緒に用いられたが、これは、かつての辻共同体に存在した二つの自治組織「上村渠(うぃんだかり)」と「前村渠(めんだかり)」の祭祀道具とされているが、それぞれどちらのものなのか、地元の当事者にも区別がつかなくなっている。
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浅香さんの解説には、「2006年の辻旧廿日正月祭り神事の御願廻りに使われたものである」とありますので、浅香さんが調査研究されていたであろう2006年時点ではわからなかったということでしょう。

浅香さんとはお会いしたことはありませんが、浅香さんの資料を拝見すると、いまから15年前、浅香さんがどれほど熱心に、ていねいに調査研究されていたのかがよくわかります。(浅香さんの資料は、辻に関する貴重な資料のひとつとして、ありがたく参考にさせていただいております。)

あれほど調査されて判明されなかったのだから、きっといまさらわからないだろう。
そう、思っていました。

それが、
辻に関わらせていただくようになって3度目の神事準備中のこと。
2021年2月12日(金)、初めて気づいたことがありました。

それは、
ビンシーのなかのある部品部の裏側(!)に小さな文字が記されていたことです。

年季の入ったビンシー、裏側に書かれた手書きの小さなひと文字。
あるところには「イ」、そして、あるところには「5」と書かれているように見えました。

まさかビンシーのなかに、そんな手書きの印があったなんて。思いもしませんでした。
なにせビンシーのなかの裏側なので、よくよくビンシーを眺める機会がないと、まったく気づきません。
が、
とある理由から、この日、ねこはビンシーをくまなくチェックしたのです。
ひっくり返してみたり、すべての部品部をていねいに確認したり、おそらく、ビンシーをくまなく、こんなに眺めたのは初めてのことだと思います。

そう、
理由がなければ、
ねこもあれほど細かくビンシーをチェックすることはなかったと思います。

手書きの文字を見つけた時は、とても驚きました。
と同時に、明るい気持ちになりました。

“いままでまったく気づかなかったことを気付かされた!”

意味もなく、村のビンシーに文字は記さないだろう。
きっと何らかの意味ある記号だはず。
きっとわかる人にはわかるはず。

ひょっとしたら、これは「調べなさい。調べてくれ」という意味なのかもしれない。

調べないといけないのかも。

いや、調べないと。

そんな気持ちに駆り立てられました。

信頼する(自身も御拝して歩いている)弟分に、ビンシーの裏に文字を見つけた経緯を含め、事細かに話をすると、
「あはー、それは“調べなさい”という意味だと思うよ」
と、同じ考えでした。

それから、ねこはひとり、県立図書館に通い詰めました。

10・10空襲を受けた辻は壊滅。辻の地形はすっかり変わっています。
ヒントを得ようと、戦前の辻の地図や、できる限りの資料を読み漁りました。
ほんのちょっぴり、謎解きしてるみたいで、ルパンだかコナンだかになったような気分でした。

※10・10空襲 ・・・ 1944年10月10日、米軍第三機動部隊空母から発進した艦載機が南西諸島全域を爆撃しました。

まず、そう簡単にはわからないだろう、と思っていたのですが、
意外なことに、まる一日、ひとり県立図書館で調べまくっていて、
「きっとこれだ!」
という自分なりの答えを導き出しました。

2021年2月19日(金)のことでした。

辻に関する書物や資料は意外とあります。

だから、
いまさらねこが調べることもないよね。
そう思い、
これまでは、すでに書かれている書籍や資料だけを読んでいました。

それが、
辻村のふたつのビンシーをきっかけに、
辻に関して、まだ知らされていないこと、知られていないことがあるのかもしれない。

確かに、ライターで取材させて頂いていてもそうだ!!

いつ、
どこで、
誰と。
どなたのお話を伺うのか。
誰がどのような質問をぶつけるのか。

取材するひと、取材されるひと、それぞれの考え方、感性、タイミングやご縁、
さまざまな要素で、取材でみえてくるものが違ってくるよね。

それに、
昨年、牛島中将を看取った苗さんも旅立たれてしまった。
(白いお骨壷には「令和2年6月7日卒 故 伊波ナベ 享年百一才」と記されていました。)
苗さんにいろいろなお話を伺いたかったのに。
コロナ禍で会えなかったのが悔やまれます。
みんないつかいなくなっちゃうんだよね。。。

ねこはねこなりの取材調査をすればいい。

そう気付かされました。

辻についてねこなりに、
自分の足と目と耳と手とアタマと感性と、
すべてを使って、真剣に調べてみよう。

その決意とともに、辻の各拝所にご挨拶しました。

「ご縁あって辻に関わらせて頂いております。
これから辻のことを真剣に調査研究していきたいと思います。
会うべきひと、会うべきもの、会うべきこと、会うべき場所へ、どうぞお導き、お守りください」

と。

 

 

そして、昨日(2021年2月24日)。

神事準備のあと、運良く、新思会(一般財団法人辻新思会)の上江洲安明理事長にお会いできたので、
辻村のビンシーについて、自分の謎解きを地図とともに説明し、理事長のご意見を伺いました。

「うん、うん。そうだね。私もそうだと思うよ。
独学でよく調べたね」

理事長の同意も得られてよかった。ほっと一安心。

そして、昨日ムラヤーにお集まりになったシージャ方にお話したように、
理事長にも自分の想いを伝えました。

「これから辻についていろんな方にお話を伺い、自分なりにいろいろと調べたいと思います。
なにかの際はご協力お願いいたします。
まずは、社長(理事長のことです)のお話もたくさん聞かせてください」

すると、理事長は
「うん、うん。それはすごくいいことですね。
おおいにやりなさい。応援しますよ。
私のところにはいつでも聞きにきていいからね。
知っていることは何でも話すから」
と笑顔でやさしく頷いてくださいました。

とまぁ、「辻を調べよう!」というねこの小さな冒険がはじまりました。

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、辻は、特別なところでした。

かつて、辻で暮らす女性は「じゅり」と呼ばれていました。
しかし、すべてのじゅりは唐(グソー=あの世)へ旅立たれ、「いまはもう誰もいない」と伺っています。

辻に関する取材は容易ではないかもしれません。

何ができるかわかりませんが、せっかくご縁をいただき、そう遠くはないところに暮らしていますから、
少しずつ、文献を調べることと並行して、いろいろな方に尋ねて歩いてみようと思っています。

まずは、今年も無事に神事を奉行できますように。

長くなりましたが、本日はねこの辻旅のプロローグを綴りました。
ビンシーの謎解きの答えは、またどこかで。

※2021年の「じゅり馬まつり」について
残念ながら今年もコロナの影響により、「じゅり馬まつり」は中止せざるを得ない状況です。
来年には、華々しく賑やかに開催できますように。。。

今日もご愛読にふぇーでーびる☆

うまんちゅぬ あちゃー かふー うにげーそーいびーん。
みなさまに琉球弧のすべての神々のご加護がありますように☆

 

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